現代のITエンジニアのキャリアプランはさまざまで、転職を通して実現することが求められています。
ITエンジニアのキャリアプランはどのようなものがあるだろうか?
エンジニアとしてのキャリアプラン形成を知りたい
本記事では、
- 転職時の理想的なキャリアプランの作り方
- キャリアプランに基づいた転職活動の進め方
- 転職後のキャリア成長の方法
以上のポイントについて解説いたします。
ぜひ自身のキャリアビジョン実現に向けて参考にしてください。
ITエンジニアのキャリアプラン設定の重要性
IT業界は変化が活発な分野のため、エンジニアのキャリアの幅が広がっています。
十分な経験やスキルがあれば転職しやすい職種の1つと言えますが、変化するニーズに応え活躍し続けるエンジニアになるためには、キャリアプランをしっかりと考えて設定する必要があります。
まずは、ITエンジニアのキャリアプランの重要性を見ていきましょう。
エンジニアにキャリアプランが重要な理由
そもそもキャリアプランとは、一言で表すと「キャリアを積んでいく道」のことを指し、キャリアパスとも呼ばれています。
ITエンジニアのキャリアの特徴は選択肢の多さが挙げられます。だからこそ、自身の理想的な将来を明確にして、実現するために経験やスキルを積み上げていく行動計画が重要です。
キャリアプランを設定していると、方向性が決まり自分が何をすべきかが分かるようになります。日々進化し多様化するIT分野についていくため、ITエンジニアは技術や知識のアップデートを常に行わなければなりません。ここでキャリアの指針がないと、手当たり次第に最新の技術や情報に手を出してしまったり、スキルが思うように身に付かなかったりと時間を無駄にしてしまうことになりかねません。
また、漫然とエンジニア業務をこなす日々を過ごしていたら40代・50代になっており、そこからキャリアプランを考えても限られた選択肢しか残っていないということも考えられます。
したがって、できる限り早くキャリアプランについて掘り下げ、理想の将来像をしっかりと持つようにしましょう。
キャリアプランを設定するメリット
キャリアプランを設定するメリットは、将来の理想像と現状とのギャップが明確化して、取るべき行動が分かることです。
現在所属する企業でキャリアアップしたいと考える人ならば、日々の業務の中でどのように理想へと近づくかを考えながら取り組めば、必要なスキルを効率的に身に付けられるでしょう。
別の会社でキャリアアップを目指す人にとっても、どのようなスキルがあれば転職しやすいのかを理解することができます。転職活動では、キャリアプランに合わせて応募企業を選択すると、入社後のミスマッチのリスク軽減に繋げることができるでしょう。
どのような状況においても、キャリアプランを設定するメリットは大きいと言えます。
ITエンジニアとしての理想的なキャリアプランの設計
エンジニアのキャリアプランは多岐に渡りますが、大きく以下の4種類に分類できます。
- スペシャリスト
- ゼネラリスト
- マネジメント
- フリーランス
それぞれ詳しくご紹介します。
エンジニアの主なキャリアタイプの紹介
スペシャリスト
スペシャリストとは特定分野の知識やスキルを追求して身につけ、技術リーダーとしてチーム内で発生した技術的課題を解決していくエンジニアの代表的なキャリアプランです。
1つのことに集中してとことん極めたいという方に向いており、長く現役としてプログラミングに携わりたい場合におすすめです。
また、最終的にはCTO(最高技術責任者)の地位まで上り、企業戦略に関わる人も数多く居ます。
ゼネラリスト
ゼネラリストは、スペシャリストとは逆に幅広くさまざまな分野について理解し、プロジェクトの進行管理を任されます。
好奇心旺盛で、多くの分野に触れたい方におすすめです。
キャリアパスの選択肢を多く持つことができ、特に中小企業やスタートアップ企業には好待遇で迎えられる場合が多いです。
マネジメント
マネジメントは、スペシャリストやゼネラリストとして経験を積んでから進む方が多いキャリアプランです。
エンジニアの経験に加えてマネジメントスキルを習得し、プロジェクトリーダーやマネージャーといったマネジメント職に就くことになります。
管理職エンジニアは組織では出世の王道コースといえるため、確実なキャリアアップを目指していくことができます。
また、マネジメント職として人材管理のスキルを身につけ、最終的に起業する方も少なくありません。
フリーランス
近年では、エンジニアとしての実務経験を積んだ後にフリーランスとして独立するというキャリアプランも増加しています。
組織に縛られずに自由に働き方を実現することができ、自身のスキルや実力次第で大きく収入を増やすことも可能です。
ただし、企業に属していたときとは違いトラブルがあっても守ってくれる人がいません。案件を取れなければ収入が無い期間が発生するというリスクがあることを念頭に置いてください。
生活できる自信や見込みがついてから独立することをおすすめします。
最近は社内業務の経験以外にマッチングサービスなどで副業として案件を受注し、スキルを磨く方法もあります。
キャリアプランを決めるポイント
エンジニアの主なキャリアプランがわかりましたので、自身のキャリアプランを決めていきましょう。
キャリアプランを決める際には、以下のポイントを意識することをおすすめします。
- 最終的に何をしたいかを明確にする
- 現状を把握し、足りないものを知る
- ゴールまでのスケジュールを立てる
以上3点について詳しく解説していきます。
最終的に何をしたいかを明確にする
まずは何を目指すのかといったゴール地点を定めましょう。
ここから始めることで、具体的に何が必要になるかがわかりやすくなります。
目標が漠然としている方は、役職や収入といった条件から絞っていくことがおすすめです。例えば、スペシャリストとゼネラリストでは積み上げていくべき経験や知識が全く異なります。そのため、まずは方向を決めることが重要になります。
現状を把握し、足りないものを知る
目指すべきゴールを明らかにした後は、自己分析とキャリアの棚卸しをしていきましょう。
これまで積み重ねてきた経験や実績を整理することで、自身の強みや特性を再確認することができます。
自己分析は学生時代の記憶や思い出など自身を深掘りしていきます。自分ではよく分からない場合は、友人や家族に相談して客観的な意見を貰うのも効果的です。。
現状を把握する際に、注意しなければならないことがあります。たとえやりたいと思ったことでも、せっかくの強みを発揮できない環境であるならば成功することは難しいということです。理想とする将来像と強み・特性とのバランスやギャップを見た上で慎重に決めましょう。
ゴールまでのスケジュールを立てる
最終的なゴールと現状の把握ができたら、進みたい方向に必要なスキル・経験と比較して達成までの道のりを決めましょう。
現状のスキルが大きく不足している場合は、補う方法を考えなければなりません。
目指すポジションに向けて現職場でのスキルアップや、分野に強い企業への転職など具体的に計画していきます。行動計画を立てる際は、一つ一つの作業まで細かく落とし込んだものと数年単位のもの両方作ることをおすすめします。細かい部分で遅れても長期的なプランで見ると冷静に対応できるでしょう。
ITエンジニアとしてのキャリアプラン構築のための効果的なアプローチ
ここからはITエンジニアの転職活動について、各先行ステップでのポイントや効果的なアプローチを解説します。
STEP(1)事前準備
エンジニアの中途採用市場は活発傾向にありますが、理想通りの転職をするためには事前準備が重要になります。
- 転職で進みたいキャリアプランを考える
先に紹介したエンジニアの主なキャリアプランとキャリアプラン決定のポイントを参考に、転職で実現したいキャリアプランについて考えましょう。
現在とは違う分野に強い企業で知見を広げるか、または同じ分野でもより規模が大きく待遇が良いところに移りたいなど転職する目的を具体化していきます。
- 業界の動向や求人について情報を集める
IT業界の動向やトレンド、求人情報についての情報を集めましょう。
情報源は一つだけでなく、複数で活用すると幅広い情報が収集でき、選択肢が広がります。
転職サイト
商品やサービス、興味がある分野などのキーワードで検索すれば、該当する求人を閲覧することが可能です。
また、匿名で職務経歴や希望条件を登録しておくと企業からオファーが届く「スカウト機能」も便利なためおすすめです。
自分に興味を持つ企業を知ることで、自分の「市場価値」を推測することができます。
転職エージェント
転職エージェントを活用することで、転職サイトでは公開されていない非公開求人についての情報が得られます。
これまでの経験やスキルをふまえたキャリア構築についての相談も可能です。自分でも想定していなかった分野に経験を活かせるポジションが新しく見つかるかもしれません。
また、この後の選考ステップでも履歴書や職務経歴書の添削、面接練習などのサポートを受けることができます。内定の確率を上げたい方におすすめです。
勉強会やSNSなど
勉強会やセミナーは多くのエンジニアが集まり、交流も盛んです。気になる企業の求人情報や、業界のトレンドについて探ってみましょう。
STEP(2)応募書類の作成
応募時に企業へ提出する履歴書と職務経歴書を作成しましょう。
職務経歴書で記載しておくべき項目は以下になります。
- 担当したプロジェクトの概要
どのような製品・サービスだったか、メンバー数などの規模、自身はどんな役割を果たしたかについて記入しましょう。
- 開発環境、開発言語、使用経験のあるツール
経験のある言語、ツールについて記入しましょう。
使用頻度や他者へ教育可能なレベルなどの習熟度も説明します。
- プロジェクトリーダー、プロジェクトマネジャーの経験
リーダーやマネージャーなどのマネジメント経験があれば記入しましょう。
管理していたチームやプロジェクトの規模感と成果も具体的にアピールしてください。
- 業務の改善・効率化などへの取り組みと成果
現在の職場環境の改善や業務手順の修正で改善した経験について記入しましょう。
成果は数値で示せるとより良いでしょう。
- 技術以外の自己PR
顧客折衝、外部パートナーとの交渉・調整、メンバー育成などの経験について記入しましょう。
参考記事
https://doda.jp/guide/syokureki/resume/it13.html 「Webサービス系エンジニアの 職務経歴書テンプレートと書き方ガイド」 doda
STEP(3) 面接対策をする
エンジニアの中途採用面接で必ず聞かれる質問について解説します。
転職理由
STEP(1)事前準備の項で明確化した転職の目的が、不満や不安があり環境を改善することだとしても、そのまま伝えるだけで終わるのは望ましくありません。
不満がきっかけでも、そこから自身のキャリアを見つめ直したこと、それによって「これから何を目指すのか」「何をしたいと考えたのか」を伝えましょう。
また、転職回数が多い場合はどのような理由を付けるべきか悩む方が多く居ます。しかし必要以上に心配しなくても大丈夫です。なぜなら、IT業界は昔から人材流動が活発なため、企業側はあまり気にしていません。
ただし、転職毎に「何を目指していたのか」「どのようなスキルが身についたのか」などを説明できるようにしておかないと、「忍耐力がない」「飽きっぽい」という印象を抱かれてしまう恐れがあるので注意しましょう。
志望理由
不特定多数の会社に通用するような志望理由では意味がありません。「なぜこの会社なのか」を伝えるには、キャリアプラン設定の時の自己分析に加えて企業研究が必要です。
企業ホームページの企業理念や社長メッセージと採用情報ページの社員インタビューは最低限確認し、可能であればニュースリリースにも目を通しておくとよいでしょう。
「こだわり」や「目指すもの」など企業と自身の共通部分を探し出してください。企業として重要にしているポイントとの共通点を志望理由に盛り込めば、説得力を持たせることができます。
なお、転職理由との一貫性を持たせることにも注意してください。理由がブレてしまうと相手に不信感を与えてしまう可能性があります。
経験・スキルの確認
職務経歴書にも記載した通り、プロジェクトの概要とともに自身が「どの工程に」「どの程度関わり」「どんな成果や効果が出たか」を伝えるようにしましょう。
なお、新しい分野の挑戦で実務未経験の場合は独学で勉強していることがあれば、それも伝えてください。IT業界は、技術進化のスピードが速いため、「学び続ける姿勢」をアピールすることが重要です。
参考記事
- https://www.r-agent.com/guide/article3379 「【IT業界編】「志望動機」の伝え方・書き方と例文」リクルートエージェント
- https://type.career-agent.jp/knowhow/it_web/change_reason_engineer.html 「ITエンジニア面接で転職理由の上手な回答方法と例文を解説」type転職エージェント
- https://doda.jp/engineer/guide/it/004.html?argument=MC76WbSa&dmai=a64eec203abec5&cid=001004020053002&gad_source=1&gbraid=0AAAAADo4kc9MYwF2zclfn8vlZ4ASQcD8q&gclid=CjwKCAjwte-vBhBFEiwAQSv_xaURaZy7G28JhHE9cHZu7hWlduVRESfAG23-Yyv55xKeSnCt6o_tIxoCU44QAvD_BwE&gclsrc=aw.ds 「ITエンジニアの面接よく聞かれる質問と受け答えのポイント<回答例や逆質問例あり>」doda
STEP(4)内定~退職~入社
内定が出て入社意思を応募企業へ連絡したら、在籍企業に退職意思を伝えます。
引き留められる場合もありますが、次の入社先が決まっていることと引き継ぎのにかかる期間をはっきりと伝えれば基本的には受け入れてくれるでしょう。どうしても退職交渉がうまく進まないときは転職エージェントや退職代行サービスを頼ることができます。
転職活動中から業務の引き継ぎ準備をしておくことも重要です。例えば、業務手順をマニュアルにまとめておいたり、他のメンバーに情報共有や指導を行っておけば、残ったメンバーに迷惑をかけずに済むでしょう。
ITエンジニアのキャリアプランと転職に関するまとめ
今回はITエンジニアのキャリアプラン設定と転職についてのポイントをご紹介いたしました。
実際に取り組むときは以下の3点とこの記事を参考に進めて理想の働き方を実現しましょう。
- エンジニアの転職とキャリアプランには、明確な目標設定と計画的なアプローチが必要
- 転職活動は自己分析と市場ニーズの理解から始まる
- 転職後は、継続的な学習とキャリアの見直しを通じて成長を目指す
ITエンジニアのキャリアプランと転職に関するよくある質問
未経験からエンジニアになるにはどのような準備が必要ですか?
未経験からITエンジニアを目指すには、以下の事前準備をすることをおすすめします。
・目指す職種を選択する
・必要な知識やスキルを勉強する
・小さな実績を積んでおく
詳細は「エンジニア転職の準備方法と求められるスキルセット」の項をご参照ください。
エンジニアの給与が高い理由は何ですか?
IT業界の技術進歩と展開により、エンジニアが不足しているからです。
今後もこの傾向は拡大していくと予想され、エンジニアの転職市場は活発化するでしょう。
詳細は「エンジニアの給与が高い理由と業界の需要」の項をご参照ください。
エンジニアに向いている性格や特徴は何ですか?
ITエンジニアに適しているとされる特徴は以下の通りです。
・継続して勉強ができる
・地道な作業が好き
・忍耐力がある
詳細は「エンジニアに求められる性格や能力」の項をご参照ください。
未経験者でもエンジニアとしてのキャリアを築けますか?
未経験者からITエンジニアとして成功するには、転職時にしっかりとキャリアプランと方向性を定めることが重要です。
自身の中で軸を持ち、理想像に向けて常に勉強や経験を積むことができれば着実にキャリアを築いていけるでしょう。